Bridge
1995年、つまり今からちょうど20年前の古い話で恐縮ですが、『マジソン郡の橋』という小説が百何十週もニューヨーク・タイムズのベストセラーになったことがあります。屋根付き橋の写真を撮りたいと訪れて、道に迷った人との出会いに端を発する物語です。日本でも同じく好評だったようで、アイオワ州のマジソン郡の橋を訪れるツアーまで出現したと聞いています。
屋根付き橋(Covered Bridge)という、小屋を取り付けたような橋は、アメリカ人たちには郷愁を誘うもののようです。昔は雪や嵐から通行人を守るための実用的な工夫だったのでしょうが、最近は、写真の素材だったり、観光地の目玉だったりになっているようです。
小川の両岸にかぶさるように繁る木々の陰に佇むように見える古びた小屋のような橋は、昔の緩やかな生活のテンポを偲ばせてくれます。日本で、鎮守の杜の森を見るときの気分と通じるものがあるのかもしれません。
橋の下には水が流れています。わだかまりは水に流して忘れるもの。英語でもWater under the bridgeというと、過去のものとなるという意味です。They had their battles, but that is all water under the bridge.(けんかもしたけど、それも過去の話)というように、大自然の包容力を感じさせてくれます。
昔の橋は木製でしたから、燃やしてしまえば、的の襲撃を阻止することができました。その代わり、味方も川を渡れなくなります。Don’t burn your bridges behind you.後ろにある橋は、今渡った橋。燃やすなというのですが、転勤、転職などをするときに、縁が切れないように、昔からの付き合いも大切にしなさいという意味で使ったりします。
- 作者: ロバート・ジェームズウォラー,Robert James Waller,村松潔
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1997/09
- メディア: 文庫
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