Post
Postというと郵便ポストなどを連想しますが、アメリカでは、「a mailbox」といい、「ポスト」という言葉は使われません。
どっちかっていうとPostは、看板とかの支え(棒)などのことをいいます。「fence post」というと、フェンスの支え棒のことです。戸口の柱は「door post」といいます。
He assumed a new post.(新しいポストに就任した)などというときのポストは「持ち場」という意味です。
また、例えば、A post and fourというと、四頭だての馬車のことを言います。
Postを接頭語としている単語は、「後に続く」ことを意味する単語です。例えば、出産後しばらくの期間はPostpartum。Partumはラテン語の出産です。出産の疲れ、ホルモンなどのバランスの崩れ、育児の疲れなどが重なって、お母さんの気持ちが落ちこんでしまうのを、Postpartum bluesとか、postpartum depressionと呼びます。
ラテン語のmortem(死)と組み合わせると、Postmortemは死後のという意味ですが、検死のことでもあります。Postponeはこれもラテン語の「置く」と組み合わせて、後ろに置くことから、延期することです。The trip was postponed.(旅を延期した)などと使います。旅先から出すはがきはpostcard。このPostは郵便ですが、Script(書く)とPost-を組み合わせると、Postscript(あとがき)になります。よく、手紙などの最後に「追伸」という意味で「P.S.」と書くのがそれです。ビートルズの「P.S. I love you」という曲で有名ですね。
なお、フォントなどのポストスクリプトはアドビシステムズが1984年に発表したページ記述言語のことですが、これはどこからどうしてそういうネーミングになったのかは分かりません。知っている方、教えてください。
Evacuate
広島市北部の土砂災害で被害をうけられた方たちには心からお見舞い申し上げます。
To evacuateは、今回のような大雨、あるいは台風、地震などで避難勧告を受けるなどして、住宅を離れ、避難する、という意味です。“Flooding forced them to evacuate.”(洪水で、住民は避難せざるを得なかった)などと使います。避難を余儀なくされた人は、evacueeです。
To evacuateという語の親類にあたるto vacate は、空にするという意味で、“She vacated hers house.”というと、家を空にしたのですから「家を畳んで出て行った」となりますが、to evacuateのような“避難”という感覚はありません。
Vacationはto vacateの名詞ですから、持ち場を空けて他所へ出かけるという感覚です。じゃあ、家でのんびりしているのはバケーションではないのか、って感じですが、まあ、職場を空にしていれば、バケーションということなのでしょう。
Vacant lot は「空き地」ですが、vacant lookは「うつろな目つき(顔)」という怠味です。航空機の中のトイレの表示で空いているときは「vacant」となっています。
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Tide
アメリカにはTideという洗濯洗剤が売っていますが、tideは海の干満のことです。
海の干満は日々、のどかなリズムで繰り返されています(The ebb and flow of the tide are repeated daily in a regular rhythm.)。けれども、東日本大震災のときのように、海底地震の影響で、高波が突然、起こり、岸に襲ってくる(High waves caused by an earthquake suddenly swell and surge onto the shore.)と、津波(tidal waves)となって、猛威をふるう(The tidal waves showed their ferocious power.) ことになってしまいます。
余談になりますが、本来津波は英語ではtidal wavesと呼ばれていたようです。しかし、昨今はニュースでも、tsunamiと日本語を使うようになっています。もはやtsunamiは英語になってしまっているといっていいでしょう。
さて、潮の干満は、人にはあらがえないものです。「the」をつけて、「The tide」というと、あらがい難い「力」といった意味で使われています。選挙時の候補者が民衆の意見の高まりの波に乗って当選したという場合、“The candidate rode the tide of public opinion.”となります。現職の議員に対して有権者が不評や怒りを感じている場合、そうした反感をパネにして、対立候補者が楽勝するような場合は、“He was swept into office on a tide of outrage against the incumbent.”などと言ったりします。
Graduation
全然卒業の季節でもなんでもないですが、graduation、つまり卒業です。人生の次の節目への門的を記すせいか、commencementともいいます。commencementの本来の意味は「始まり」ですが、アメリカでは学位授与式、
主賓の祝辞はcommencement address。日本もアメリカもほぼ同じようで、早く終わってくれないかな〜的なものが多かったりします。学校ゆかりの名士や政治家を招くのは、巣立っていく若者たちに、立派な人をお手本にして、前進して欲しいという親心の表れなのでしょう。お手本となるような人はrole modelです。A father should be a role model for his son.(父親は息子の生き見本であるべき)というように使います。
さて、graduationも節目にちなむ意味を持っています。graduateには、卒業するという意味と共に、日盛りをつける、等級をつけるという意味もあります。
A graduateは、従って、卒業生であると同時に、目盛り付きの容器(ビーカーなど)でもあります。卒業生の知恵の詰まり具合が気になります。
成績優秀で大学を卒業したというときは、I graduated from college with honors.必ずfromを使います。fromなしでHarvard graduated me.というと、ハーバード大学を卒業したということですから、先の文章では、大学を卒業させてしまったような奇妙なことになるからです。
同じことをI am a graduate of Harvard. ともいえます。事業生であれば同窓生でもあるので、I am an alumnus of Harvard. 複数はalumniです。
Red
イディオムで、I saw red.というと、「頭にきた。」という意味になります。血がカーッと頭に上ってきて血の赤が見えちゃっている、という感じがします。
I had to take the redeye to get home last night.は「昨晩家に帰るのに夜間飛行便に乗らざるを得ないかった。」という意味になります。おそらく、夜間飛行でよく眠れず目が充血して赤くなっているところから“red-eye flight”という言葉が生まれたのでしょう。
また、“a red-light district”というと、遊郭街のことになります。ヨーロッパでは遊郭街は赤いライトがついているらしく、日本の交番の赤いライトを初めて見てヨーロッパ人は「あ、遊郭街!」と思うらしいです。
日本語の「赤字」はそのまま英語でも“赤”のようで、“Our company was $50,000 in the red.”、つまり「我々の会社は5万ドル赤字だった。」と言うことができます。
red herringは「赤いニシン」という意味ですが、これは薫製にしたニシン、ということです。She used it as a red herring. と言うと「彼女はそれを目くらましとして使った。」という意味になります。薫製にしたニシンは匂いが強いので警察犬などの訓練には効果的なんだそうですが、これを悪用し捜査中の犬に薫製のニシンの匂いを嗅がせると、犬が本来追うべき匂いを追えなくなってしまう、というところから生まれたイディオムだそうです。
宝島社のファッション誌に『InRed』というのがありますが、直訳すれば「赤色で」ということになっちゃうわけですが、あれはどういう意味なんでしょう? てか、どこからそういうネーミングになったんでしょうか…。女性ミドルエイジ誌でおもに30代向けのファッション情報を紹介している雑誌だ、ということですが、“red”との関連性がいまいち分かりにくいですね。
Heavy
もうほとんど日本語化してしまっており、今さらな感じですが、Heavyは物理的に物が重いだけではなく、気が重いときにも使えます。1対1で対応しているとはいいがたい日本語と英語の単語の関係の中にあって、日本語の「重い」とほぼ同じ意味で使えて分かりやすいです。
This chair is heavy.というと、この椅子は重い、という意味ですが、人に対して使うと体重が重い、という意味になります。たとえば、My mother is heavy.ってな具合です。また、スラングで、うざい、という意味でも使っているのを聞いたことがあるような気がします。She is little bit too heavy.と言われたりしたら、「重い」と言いたいのか「うざい」と言いたいのか分かりにくくなります。
Heavyといえば、Heavysetという形容詞もあります。これは人に対してしか使わないようですが、意味は、ソリッドでがっちりした感じです。He was tall and heavyset.と言うと、彼は背が高くて、がっしりしていた、という意味になります。
気持ちにのしかかるような重さや圧迫感を感じる場合の「重さ」にも使います。“The responsibility
weighs heavy on me.”(責任がわたしに重くのしかかった)と聞くと、重い石をのせられたような気分が伝わります。
警備などがものものしい場合には“The security is heavy.”と言えます。heavyの代わりにtightも使います。水も漏らさぬ徹底した警備といった感覚です。
訛が強い場合には、“He has a heavy accent.”と言います。“He has a thick accent.”とも言いますが、thickを使うとべったりと張り付いて離れない靴りといった印象です。
重量挙げはweight lifting ですが、heavy liftingと言うと、物理的に重いものを持ち上げたり、作業の対象にしたりすることです。難しい仕事や難題にも使います。“I’II let him do the heavy lifting.”(力仕事・難題は彼に任せるよ)といった具合に使います。相手が難しい仕事をこなすために必要な力量や影響力を持っている人だと認めている発言です。“He is a heavyweight.”と言えば、上のような能力がある人です。
problemとissue
日本語でいうところの「問題」は英語ではproblemとissueの両方の意味に使われます。
対応しなくてはいけない問題や事態はproblemですが、課題としての問題はissueです。わたしが英語を勉強始めた頃は、Solve the problem、Discus the issue、という風に暗記しました。
problemは積極的に立ち向かうべきものですが、issueは議論して対応を考える、といったたぐいのものです。
日本語はどちらの場合も「問題」ですので、英語初心者のうちはどちらの場合でも「problem」を使ってしまう場合が多かったりします。problemとissueを使い分けられるようになると、英語もかなりこなれた感じになってくるような気がします。